家では普通にお話しするのに、幼稚園や学校など特定の状況で話せない状態を場面緘黙(ばめんかんもく)と言います。
医学的な診断では『選択性緘黙(せんたくせいかんもく)』という名前がつけられています。
なぜ場面緘黙になるのかは詳しくはわかっていませんが、生まれつきはずかしがりやで繊細な人に起こりやすいようです。
家庭でのしつけ、育て方が原因ではないかと言われて来ましたが、近年では全く関係ないことがわかってきています。
場面緘黙の正確な発症率は不明ですが、0.2%~0.7%くらいと言われています。
発症の時期は、入園や入学のような社会的な環境にデビューする時が多いようです。
転校や失敗体験をきっかけとして発症する人もいるようです。
場面緘黙の症状はさ まざまで、家族以外には全く話せない人もいれば、音読など決まった台詞などは話せる人もいます。
特定の人に話せたり、家の中でだったら誰とでも話せる人も います。無表情で体が固くなって思うように動けない人もいま
すし、表情豊かで話せない以外は活発に動ける人もいます。
話すように言ったり、話さないことを責めないでください。ますます話せなくなってしまいます。
安心できるように、自然に温かく接してください。
そして、できることを見いだして、さりげなく褒めてください。
感受性が豊かな人が多いので、自信を育てることが大切です。
人との温かい関わり、楽しい体験が、場面緘黙の人には特に重要になってきます。
まず、子どもに寄り添い、現在の状態を受け入れてください。
安心を増やせるようにし、楽しい活動、得意な活動を通して子どもの自信を育ててください。
子どもの不安と発話の状態をよく観察し、チェック表などを用いて記録することをおすすめします。
全体像を把握することによって、どんなサポートをしたらよいかが見えてきます。
場面緘黙の子どもは環境整備が大切です。学校で子どもが安心して過ごせるように、学校の先生に理解と配慮をお願いしましょう。
その際、場面緘黙の子どもへの対応と支援方法がコンパクトにまとめてあるリーフレットを活用するとよいでしょう。リーフレットはかんもくネットhttp://kanmoku.org/より無料でダウンロードできます。
周囲の身近な人にも理解を求めましょう。
学校での子どもの様子を保護者に伝えてください。保護者に場面緘黙に関する情報資料を提供して、「家庭と連携して正しい対応をすることで、場面緘黙の症状は改善できる」ことを伝えてください。
場面緘黙は認知度が低いために、保護者は場面緘黙という言葉を知らない人がほとんどでしょう。保護者に場面緘黙の言葉を伝えづらいという声を多く聞きます が、保護者が知らないと家庭で間違った対応をし続けて、症状がひどくなってしまいます。場面緘黙は早期に対応することが大切です。
先生は、子どもの不安ができるだけ軽くなるように、支援してあげてください。場面緘黙の子どもは繊細で傷つきやすい子どもが多いです。他の先生からの叱責がないように、学校内のすべての先生方に共通理解として、場面緘黙の適切な接し方を知らせてください。
友達との交流をサポートし、クラスメートへ理解を促進させてください。先生の子どもに対するポジティブな姿勢は、クラスメートにもよい影響を与えます。話せないことでいじめらないように注意してください。
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